t_tsuji58

イマヌエル・カントは異常にパンクチュアルな散歩者であり、ケーニヒスベルクの人々は彼の通るのを見て、家の時計の狂いを直したと伝説は伝えている。
けれども、これは哲学者としてはある意味当然のことだと私は思う。
毎日判で押したように同じ生活をしている人間の脳内では、暗殺者をスキャンするSPの場合と同じように「昨日はなかったものがある」ことと「昨日はあったものがない」ことが際立つからである。
哲学者の哲学者性とは、畢竟するところ、自己の脳内における無数の考想の消滅と生成を精密にモニターする能力に帰すのである(そういうことを言う人はあまりいないが、実はそうなのである)。
だから、「ルーティンを守る」というのは命を守る上でも、イノベーションを果たすためにも、実はとってもたいせつなことなのである。