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ドイツのアウトバーン(高速道路)は一部区間を除き、乗用車に制限速度がない。サービスエリアで休憩しながらの長旅で、欠かせないのが50セントのユーロ硬貨。これがないとトイレに入れない。同行のドイツ人が硬貨のパックを用意していたから、事無きを得た。

 家族4人で使うと300円弱の出費になるが、そもそも乗用車は高速料金が無料だし、清潔に保たれているから納得できる。「環境」を守るにはカネが掛かるという哲学が社会の隅々まで浸透しており、コスト負担の曖昧を美徳とする日本とは対照的だ。もっとも機械にコインを投入するとクーポンが出てきて、これを売店に出すと代金から50セント引いてくれるから、利用者には不満もないのだろう。

世界有数の「道路大国」だが、都市部では路面電車はじめ公共交通機関が充実している。ユーロ・テストが欧州主要23都市を対象に移動時間や乗り換え、案内表示、運賃を比較した公共交通のランキングによると、首位のミュンヘンが総合評価「Very Good」を唯一獲得したほか、ベスト10の半数をドイツの都市が占めた。

マンハイムでは、街のシンボルである給水塔の前を路面電車が頻繁に往来していた。床が低いから、お年寄りでも乗降は難しくない。朝は民営化されたドイツ鉄道(DB)の駅から通勤客が出てきて、その多くが路面電車に乗り換える。夕方になると、警察による違法駐車の摘発をしばしば目にした。ルール厳守のお国柄も、路面電車の利用を促しているのだろう。

 DBの一部車両では自転車の持ち込みが認められており、ラッシュ時のフランクフルト駅構内ではビジネスマンが「愛車」に乗り換えていた。また、一部の通勤客はホーム上の柵に自転車を鎖でつないで駐輪している。一般的に欧州の駅では改札口や階段がないため、ホームからスイスイ出勤できる。だからと言って切符を買わないで乗車すると、車内検札で高い罰金を徴られてしまう。

 フランクフルトでもDB駅前に路面電車が待ち構え、市民の貴重な移動手段になる。また、欧州中央銀行(ECB)本部に向かう通りなどは歩行者天国であり、車を使わなくても市内の主要スポットに出掛けられる。

日本の鉄道ダイヤは恐らく世界一正確だし、駅構内の安全性も極めて高い。しかし都心では地下鉄が主体となり、鉄路と街の一体感が薄れてしまった。また、高速道路無料化に象徴されるように、鳩山政権の交通政策には目先の人気取りが目立つ。クルマと鉄道の共存を目指すドイツを参考にしながら、都市計画に地球温暖化対策やエネルギー安全保障を組み合わせて、総合的な交通政策を目指すべきだと思う。

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